エレーナ・トルスタヤ准教授の講演会「福島の子どもの心のケア」のまとめ

昨日は、ウクライナチェルノブイリの保養所“希望”でこども達の心理カウンセラー
を20年以上しているというエレーナ・トルスタヤ准教授の講演会「福島の子どもの心のケア」に行ってきました。つたない文章ですが、自分なりにまとめましたので報告させて下さい。

ウクライナでは、1986年4月26日1時23分チェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故の後、五年後の1991年2月22日に国が決めたこどもの健康回復のための社会保障制度として

  • 診療の無料
  • 保養治療の無料
  • 保養に対しての無料送迎
  • その他のこどもの健康回復の為のプログラムの無料

が制定されている。現在も国が運営する保養施設がたくさんあり、どこも常時こども達で一杯だそうである。

原子力事故の後に被爆した、またはしないに関係なく、放射能に対するこども達の過度の恐怖が原因となり、こども達にあらゆる心身障害が現在進行形で現れているそうです。

放射能に対する過度の不安感からくる身体及び精神的な症状

  • 自己へのコントロールの欠如
  • 無気力、自尊心の欠如
  • 被災者であるから何をしてくれてもあたりまえという開き直った態度

(VICTIM COMPLEX)被害者を逆手にとる意識

  • 放射能への知識のストレス
  • ストレスへの防御の低下
  • 人と関わる気持ちの欠如(コミュニケーションの低下)グループ作業ができない。
  • 環境への順応低下
  • 運動能力の低下(身体を動かす事を楽しめない)認知の低下
  • 人を信用しない
  • 学力の低下
  • 人生へのあきらめ
  • 過度の興奮、攻撃的、暴力、怒り、突然衝動
  • 攻撃的
  • 情緒不安定(治まる事の無い不安感)(気分の変化が早い)
  • 家族に対する不安、不信感
  • くらやみへの恐怖
  • すすりなき
  • おねしょ
  • 神経性けいれん
  • 生きる意欲の低下(うつ、無気力、つかれ)
  • 自尊心の低下
  • 活動過多
  • 不眠
  • まったくなにもおこらなかったかのような行動にでる。
  • 注意散漫
  • 衝動的行動
  • どもり、つめをかむ
  • 高血圧、慢性胃炎
  • 事故への恐怖感
  • 自尊心の低下
  • 環境への順応の低下
  • 社会への不安
  • ストレスへの防御の低下
  • コミュニケーションの低下


重複するところもあると思いますが、このような症状が27年たった現在も保養にくるこども達に顕著に現れているそうです。

保養所でのプログラム
Psychological Work
心理カウンセラーが入り、心の問題を明らかに自分達で回復させる方法を生きることへ前向きに人間関係を実践的に構築できるよう、また感情とのうまいつきあい方環境への順応が出来るよう栄養治療や医学治療等を組み合わせて、複合的な治療を行っているそうです。

  • ゲームセラピー(調和、社会性の向上)
  • ARTセラピー(ダンス、シアター、ドローイング)Fairy Tale Therapy(おとぎばなしセラピー)
  • ラクゼーション(ヨガ、東洋の運動)
  • 栄養セラピー(適切な栄養、毒素をだすもの)
  • NLP(神経言語プログラム)等

このようなプログラムにより、トラウマダメージを回復させるのに保養はとても有効である事が証明されています。

希望の保養プログラムでは、小さいこども達を怖がらせる放射能被爆という言葉は極力使ってはいけないそうです。過度の放射能への恐怖心が上記の様な様々な障害を起こしているからです。
少し大きくなったティーンエイジャー(ウクライナでは14歳以上)には、このような行動をとるとこのような結果が起きる。こういう事を守れば、こう守れる。という伝達方法をとるそうです。

日本では、現在少ない民間が、資金をなんとか集めて、保養のプログラムを行っています。本来であれば、国が行うべき事です。私達は国が行う事を決めるまで、小さいながらも進めていく他に方法はありません。
今の段階では、見てみないふりをしている状況が続いています。
チェルノブイリのこども達に起きていることは、近い未来に日本のこども達にも
降り掛かってくる事です。日本のこども達は大丈夫だろうということは可能性として低いかと思います。
多様な民間の人達で連携協力体制をとり、この問題に対して迅速に準備をし、対処して行きたいと切に思います。

昨日のエレーナ・トルスタヤ准教授の講演を聞いて、自分でしっかり納得するまで人に話すのはやめようと余計なおせっかいだと思いましたが、やはりこの事をつながる方達に伝えずにはいられずにここに書きました。


Oak-to-all-relations
藤田 央